運用中金星探査機「あかつき」

赤外線、可視光線、紫外線で金星大気を撮影する5台のカメラと、気温などの高度分布を観測するための電波発振器を備えた金星探査機。6台の観測機器を駆使して、金星大気の流れや組成、雷や火山活動の有無を調べる。

小型ソーラー電力セイル実証機 IKAROS 太陽観測衛星「ひので」

金星探査機「あかつき」は赤外線、可視光線、紫外線で金星大気を撮影する5台のカメラと、気温などの高度分布を観測するための電波発振器を備えており、金星を約10日で1周する楕円軌道を回りながら、大気の流れや組成、また雷や火山活動の有無などを調べます。
「あかつき」が挑む金星は、地球とほぼ同じ大きさの惑星で「地球の兄弟星」と言われますが、大気は地球の100倍近くあり、高温の二酸化炭素で覆われています。 また上空では毎秒100mにも達する「スーパーローテーション」と呼ばれる暴風が吹き荒れており、原因はいまだ明らかになっていません。
「あかつき」は6台の観測機器を駆使して金星の気象現象を詳細に観測することを目指しており、その結果、金星だけでなく様々な惑星に共通する気象現象の理解、ひいては地球の大気がなぜ今私たちが知るような姿をしているのか、また将来どうなっていくのかについての理解が進むことが期待されています。

機体データ

名称(打上げ前) あかつき(PLANET-C)
国際標識番号 2010-020D
開発の目的と役割 金星の大気圏深部の運動等の観測
打上げ日時 2010年5月21日 6時58分
場所 種子島宇宙センター
ロケット H-IIAロケット17号機
質量 500kg(燃料含)
形状 1.5m×1.0m×1.4mの直方体
太陽電池パドルの端から端まで5.1m
軌道高度 近金点300km 遠金点80,000km
軌道傾斜角 172度
軌道種類 金星周回軌道
軌道周期 30時間
主要ミッション機器 ・紫外イメージャ(UVI)
雲の形成に関わる二酸化硫黄や、紫外線波長で吸収をもつ未知の化学物質の分布を紫外線でとらえる。また太陽光に含まれる紫外線が金星の雲で散乱される際の濃淡の模様を追いかけることで、雲頂高度での風速分布を調べる。観測波長は283nm、365nm。

・1μmカメラ(IR1)
金星の雲の下や地表付近まで透視できる1μm付近の波長を利用し、異なる波長の赤外線の強度を比べることで、下層大気の雲の動きや水蒸気の分布、地表面の鉱物組成、また活動を続けている火山の有無などを調べる。観測波長は0.90μm、0.97μm、1.01μm。

・2μmカメラ(IR2)
金星の雲の下まで透視できる2μm付近の波長を利用して雲の濃さ、雲粒の大きさ、一酸化炭素の分布などを観測し、下層大気の流れや雲のでき方などについて調べる。また金星到着までの間に黄道光を観測し、太陽系内に広がるダストについて調べる。観測波長は、1.65μm、1.735μm、2.02μm、2.26μm、2.32μm。

・中間赤外カメラ(LIR)
波長 10 μmの赤外線で雲の上端の温度を観測。雲頂の2次元的な温度分布から雲層上部の波動や対流活動、昼夜にわたる雲頂高度における風速分布を調べる。観測波長は10μm。

・雷・大気光カメラ(LAC)
3万分の1秒間の明るさの変化をとらえられるカメラによって、短時間の間に生じる雷放電を検出し、金星での雷放電発光の有無に決着をつけることを目指す。また高度100km付近の高層大気の酸素が放つ大気光という淡い光をとらえ、昼面と夜面の間の大気の流れや大気波動を映像化する。観測波長は、480-605nm、557.7nm、545nm、777.4nm。

・超高安定発信器(USO)
超高安定発振器は電波発信装置である。「あかつき」が金星の背後に隠れるとき、「あかつき」から発せられた電波は金星大気をかすめて地球に届き、電波の受信周波数が変化する。この変化を解析することで気温や硫酸蒸気の分布を推定することができる。