宇宙航空研究開発機構 ISASサイトマップサイトマップ

TOP > 活動内容 > 科学衛星 > 小惑星探査機 はやぶさ > 小惑星探査機「はやぶさ」情報 > 今週のはやぶさ君

小惑星探査機 はやぶさ

今週のはやぶさ君

2010年3月

2010年3月11日[更新] 

今週はやぶさ君は、精密な軌道決定をするためにイオンエンジンをいったん停めて、慣性飛行に入りました。
いつもの、うすださんからの距離・速度計測(レンジ計測とドップラー効果を用いた計測)に加えて、NASAのディープスペースネットワークのアンテナ3機を同時に使ったDDORも行って、精密な軌道計測をしています。うすださんからの距離・速度計測法は、視線方向には良い精度で測れるのですが、視線と垂直な面での計測はちょっと苦手です。DDORは遠くに離れたアンテナを複数使うことによって、この弱点を克服しているのです。

学会資料なので内容が専門的ですが、詳しい資料を紹介しておきます。
位相遅延量を使った相対VLBI補正の検証(PDFファイル)

はやぶさ君と太陽との距離が、1.1AUくらいに近づいたので、今度は太陽に当たっている面が暑くなりすぎないように気を配っています。

2010年3月11日00時00分(日本時間では、3月11日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離28,972,550km、赤経8h13m48s度、赤緯29.75度(かに座)にいます。

2010年3月4日[更新] 

はやぶさ君は、今日もイオンエンジンを使って軌道変更にいそしんでいます。
このところ、地球からはやぶさ君が見える時間帯がどんどん早くなってきています。先週からは、はやぶさ君の運用時間が夕方〜夜にかけての時間帯になりました。
また、通信のための電波がはやぶさ君に行って戻ってくるまでの時間も3分程度になりました。つまり、地上でコマンドを送り、はやぶさ君からの答えを得られるまでの時間で、ちょうどカップ麺が食べごろになります。
はやぶさ君が地球に近づいてきたので、なおさら慎重に、はやぶさ君の向きやイオンエンジンの出力を調節しています。はやぶさ君が星を見ながら自分の向きを知るための装置、スタートラッカの視野には、さそり座のアンタレスが入っています。

往路での、はやぶさ君のイオンエンジンのスロットリング運転はここに載っています。
トピックス:2004年12月9日【「はやぶさ」のイオンエンジン、作動積算時間2万時間を突破!】

2010年3月4日00時00分(日本時間では、3月4日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離30,170,330km、赤経8h26m48s、赤緯28.67度(かに座)にいます。

2010年2月

2010年2月25日[更新] 

はやぶさ君は今日も地球帰還に向けての軌道変更に励んでいます。
はやぶさ君に関わる人たちも、再突入カプセルの放出の手順を再確認したり、アンテナや人員の割り振りを議論したり、イオンエンジンの出力を見守る方法を更に改良したりと、それぞれの分野でお迎えの準備にいそしんでいます。

はやぶさ君が撮影したデータを使って、C. S. Clark氏がイトカワの展開図を作りました。B. Gaskell氏の形状モデルを基に作成したそうです。

イトカワの複雑なでこぼこを紙を細かくたわめることにより表現していて、上級者向けのモデルです。薄めの紙に印刷することと、のりしろに細かく切り込みを入れることをお勧めします。

また、C. S. Clark氏のウェブサイトには、たくさんの小天体の展開図が掲載されています。

これらの天体の重力は小さいですが、きれいな展開図の魅力には強く引き寄せられます。

2010年2月25日00時00分(日本時間では、2月25日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離31,772,910km、赤経8h42m10s、赤緯27.22度(かに座)にいます。

2010年2月18日[更新] 

今週も、はやぶさ君は元気にイオンエンジンを吹いています。
地球との距離も近くなってきたため、最も感度が低く指向性も弱い、ローゲインアンテナでも256bpsでの通信ができています。地上では、イオンエンジンの出力や、はやぶさ君の各所の温度に気を配るためにも、データのダウンロードに励んでいます。

はやぶさ君の冒険日誌を2010年バージョンに更新しました。2008年夏以降の出来事が追加になっています。
はやぶさ君の冒険日誌2010 (もうすぐ帰ってくるよ)

2010年2月18日00時00分(日本時間では、2月18日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離33,990,350km、赤経8h58m31s、赤緯25.43度(かに座)にいます。

2010年2月11日[更新]

はやぶさ君は今週も一生懸命、決められた方向に決められた量だけ加速を続けています。
天球上の見かけの位置が時々刻々と変化する探査機と通信をし続けるためには、アンテナを狙った探査機の向きにあわせて動かさねばなりません。そのために、うすださんは丸いレールの上に載せられています。雪が降ると、このレールの上の除雪も重要な作業のひとつです。ちなみに、アンテナに積もった雪は、雪質にもよりますが、アンテナを傾けて落とします。アンテナを動かすチーム(現在はうすださんチーム)とも力を合わせて頑張っています。

2月9日頃、はやぶさ君は衝を迎えます。つまり、太陽、地球、そしてはやぶさ君が一直線に並ぶのです。しばらくの間、はやぶさ君は真夜中の探査機になります。また、はやぶさ君がアンテナを地球に向けると、ちょうど同じ方向に太陽も入ってしまいます。地球からはやぶさ君に送る通信の上に、太陽からの電磁波による雑音が加わるので、これを考えに入れながら慎重に運用を行います。

はやぶさ君とうすださんが通信ができる時間帯は、今後もどんどん早い時刻になっていきます。ちなみに、筆者のバレンタインデーは、はやぶさ君の運用にささげられる予定です。

2010年2月11日00時00分(日本時間では、2月11日の9時00分)現在のはやぶさ君は地球からの距離37,026,000km、赤経9h14m5s、赤緯23.47度(かに座)にいます。

2010年2月4日[更新]

本日も、はやぶさ君は地道に軌道変換を行いながら地球帰還を目指しています。
うすださんの整備が無事終わり、はやぶさ君の運用に使うアンテナがうっちーさんからうすださんに戻りました。はやぶさ君の向きが通信にちょうど良いこともあり、ここしばらくは4kbpsでの通信になります。PHSの通信速度が64kbpsですので、その1/16ですね。この通信速度での音声通話は困難ですが、はやぶさ君にとってはずいぶん速い通信速度です。この機会にどんどんデータを取得します。

2009年の2月4日には、第二期軌道変換のためのイオンエンジン再点火が行われました。このとき、イオンエンジンは長期の休みを終えたばかりだったので、慎重に慎重に再点火の手順が送信されていきました。そして、しばらく はやぶさ君を見守って無事再点火したことを確認した後に、某先生差し入れの某ドリンクでささやかな乾杯をしたのでした。

そして今、はやぶさ君はイオンエンジンのイオン源Bと中和器Aを同時に使って、軌道変更を続けています。このような使い方の地上試験はできないため、はやぶさ君の送ってくるデータや、うすださんとはやぶさ君との通信から得られる、レンジ(距離計測)データ、ドップラー効果のデータ(速度計測)をじっくり照らし合わせながら、慎重に調整を行っています。

2010年2月4日00時00分(日本時間では、2月4日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離41,007,860km、赤経9h27m14s、赤緯21.53度(しし座)にいます。

2010年1月

2010年1月28日[更新]

はやぶさ君は今週もイオンエンジンを用いた軌道変更に勤しんでいます。
はやぶさ君と地球との距離を測るのには、地球から送った電波がはやぶさ君まで行って帰ってくるまでの時間を計ります。電波の進む速度は光の速さと同じ秒速約30万kmなので、「はやぶさ君からの返事があるまでの時間×光の速さ」で往復の距離がわかります。通信の状態や他の運用予定にもよりますが、一回の運用中に何回も呼びかけては返事を記録して、より正確な値を求めます。

一方で、はやぶさ君の速度を測るのにはドップラー効果を使います。ドップラー効果とは、身近な例でいうと救急車が近づいてくる時と遠ざかっていく時ではサイレンの音が違って聞こえる現象のことです。近づいてくる救急車のサイレン音の波は、救急車の速度の分だけ波の間隔が詰まって高く聞こえます。逆に、遠ざかっていく救急車のサイレン音の波は、速度の分だけ波の間隔が延びて低く聞こえるのです。
この例は音波でのお話ですが、はやぶさ君との通信用の電波を使っても同じようなことが観測できます。地球に近づいてくるはやぶさ君からの電波は、近づく速度の分だけ波長が詰まって観測されるので、これを利用して地球から見たはやぶさ君の速度を測ります。

これらの方法と精度のよい時計と観測機器を使えば、地球とはやぶさ君とを結ぶ線と同じ向き(視線方向)の距離や速度を高い精度で測定することができます。イトカワの観測をしていた2005年の秋、はやぶさ君は地球から約3億kmの彼方にいましたが、視線方向に関してだけなら、地球とはやぶさ君との距離は10mの精度で、はやぶさ君の動きは0.1mm/secの精度で測ることができました。
一方で、視線方向と直行する向き、たとえばテレビの画面の上で上下左右に動くような位置を観測するのは、探査機の軌道決定では困難です。なぜなら、探査機がいるのが数億km先ということでどうしても誤差が大きくなるからです。たとえば、直径5cmくらいの小さな分度器を使って、模造紙いっぱいに正確な星型を書くのが意外に難しいのと同じ感覚です。したがって、3億km離れたイトカワを観測していた時点での、三次元的なはやぶさ君の位置決定精度は300kmだったのです。

地上ではこれらの方法を駆使しながらはやぶさ君の位置や速度を決め、はやぶさ君を地球へと導くために日夜奮闘中です。

軌道決定に関する詳しい説明はこちらをどうぞ
ISASニュースNo.182:小宇宙【宇宙通信工学(5)電波航法】
ISASニュースNo.151:研究紹介【深宇宙ミッションにおける追跡管制】(PDFファイル)

2010年1月28日00時00分(日本時間では、1月28日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離45,964,850km、赤経9h37m5s、赤緯19.80度にいます。

2010年1月21日[更新]

今日も、はやぶさ君は元気に地球への道を歩んでいます。
11月から、うすださんが整備に入ったため、内之浦にある直径34mのアンテナで運用をしています。長野県の山の中腹にある臼田に比べて、内之浦は鹿児島県の海に面した台地にあるので15度以上暖かく、風も強いです。久しぶりに運用当番になった人は、一通りこれで驚きます。

台風銀座に建設されたうっちーさんは風に強く、うすださんだと運用を中止しなくてはいけないほどの風が吹いていても平気です。また、潮風に強い塗装も施されています。うっちーさんは、数千万kmの距離にあって太陽と同じくらいの速さで天球上を移動するはやぶさ君とも、数百kmの距離にあってたった90分で地球を回るあかりちゃんたちとも通信ができるとても器用なアンテナです。直径64mのうすださんと比べると、直径こそ半分くらいですが、うっちーさんは力強くはやぶさ君を見守ってくれています。うすださんの整備も順調に進んでいます。

内之浦宇宙空間観測所に関してはこちらをご覧ください。
相模原キャンパスと関連研究施設 > 内之浦宇宙空間観測所

2010年1月21日00時00分(日本時間では、1月21日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離51,883,610km、赤経9h43m26s、赤緯18.39度にいます。

2010年1月14日[更新]

はやぶさ君は、今週も地道にイオンエンジンによる加速を続けています。
今のところ、はやぶさ君と地上の間では256bps(bits per second)くらいの速度の通信が確保できています。この通信速度は、最近のインターネットと比べるととてつもない遅さです。漢字やひらがなを一文字送るのに16bit必要なので、256bpsでは一秒間に16文字しか送ることができません。これは100kbの写真を送るのに6分40秒もかかる計算です。実際には、はやぶさ君の「今の体調」も報告させながらデータをダウンロードしますので、もっと時間がかかります。

それでも、はやぶさ君にとってこの通信速度は結構速いほうです。256bpsの速度で通信ができれば、設定によっては30秒に一度はやぶさ君の健康状態をチェックできます。
はやぶさ君との通信速度は、はやぶさ君の向き・距離・アンテナの面積などによります。距離が半分になると、受信効率は4倍になります。また、アンテナのお皿の半径が半分になると、受信効率はだいたい1/4になります。現在使用しているアンテナは、直径64mのうすださんではなく、鹿児島県内之浦にある直径34mのうっちーさんですので、お皿の面積ではちょっと不利です。
とはいえ、今のところはやぶさ君がイオンエンジンを吹くための向きと、通信に適した向きの関係が悪くないこともありますが、やはりはやぶさ君の近さをひしひしと実感しています。はやぶさ君との通信にかかる往復伝播時間も10分を切っています。

2010年1月14日00時00分(日本時間では、1月14日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離58,722,790km、赤経9h46m26s、赤緯17.35度にいます。

2010年1月7日[更新]

[クリックで拡大]

あけましておめでとうございます。
はやぶさ君は、この年末年始に軌道決定を行いました。イオンエンジンをいったんとめて、地球からはやぶさ君までの距離と、はやぶさ君の速度を測ります。体重計の上でじたばた動くと正確な体重を量れないのと同様に、イオンエンジンを吹きながらでは正確な距離と速度を測れないのです。

体重計に乗ってじたばたする力と比べるとイオンエンジンの出力はずっと小さいですが、はやぶさ君にとっては、実は重大です。体重計なら50kgの人の体重を50g位の精度で量れれば十分です。50gは50kgの1/1000ですね。一方で、はやぶさ君の軌道決定では、30km/sec(時速約100000km)で動くはやぶさ君の速度を、30cm/sec(時速約1km)の精度まで測っています。これは、はやぶさ君の速度の1/100000にあたります。ここまで細かく測定した値を元に、軌道設計担当者がイオンエンジンを吹く計画を微調整するのです。

この軌道決定の間、イオンエンジンはとめていましたが、内之浦のアンテナだけではなく外国のアンテナも使って、距離と速度を測るための通信を行っていたので、はやぶさ君にとっては忙しい年末だったことでしょう。

1月1日から2日にかけての運用でイオンエンジンを再点火し、本日も、はやぶさ君はしし座の方向で牛飼い座あたりを見ながらイオンエンジンを用いた加速を続けています。はやぶさ君の地球帰還に向け、これからも知力の限りを尽くす所存ですので、本年もよろしくお願い申し上げます。

はやぶさ君の軌道決定担当者へのインタビュー
ISASコラム:宇宙・夢・人「第56回:「はやぶさ」生還せよ」
たくさんのアンテナを使った探査機の距離決定に関する説明はここです。
ISASメールマガジン第208号:「探査機の軌道決定」

今回、軌道決定を行いましたので、はやぶさ君の地球からの距離、方向のデータが新しくなりました。
2010年1月7日00時00分(日本時間では、1月7日の9時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離66,406,690km、赤経9h46m24s、赤緯16.66度にいます。